君がいた奇跡
やばい


鍵閉めてたっけ?



こんな朝から


友達だって

勝手に部屋へ入ったりしない



インターホンくらいは鳴らすだろう



変質者?泥棒?



嫌な予感に怯えながら



下着一枚では出てゆけないし



何より



確認する勇気すらないのだ




靴を脱ぐ音


ガサガサと袋の擦れるような音



音だけを頼りに


状況把握をしようとしてみる




「調味料もないのかよ」



ため息まじりに


冷蔵庫を開けてるようだ



キッチンとユニットバスは背中合わせになっているから



冷蔵庫を開けているとしたら



こちらには背中を向けているはず




思い切って


少しだけ


ドアを開けると




その背中を確認する


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