モ ノ ク ロ


cat'sにつくまでに
知った織田くんのこと。


今日、眼鏡なのは
コンタクトを切らしたから。
少し悪いんだって。

同じ地元だけど少し遠い北中出身。
柔道部、部長だったらしい。
中学では良い友達がたくさんいたけど
高校ではつくりたくないみたい。
インテリぶっててうざいって。

少し素っ気ない返事だったけど
表情は柔らかかったから
私はとても嬉しかった。


『じゃあ学校では1人でいるの?』

「ああ、面倒な奴とつるむよりましだよ。」


ごく自然に出た台詞が

『じゃあ私たちのとこおいでよ。それか私たちいくし。』


案の定、織田くんは驚いて
え?なんて言ってる。


『高校時代なんて一度しか無いんだから、楽しまなきゃ。それに織田くんいたら私も、もっと楽しくなる。』


…あ?私なんて言った?
何を言ってるの?


「…ありがと」


さっきの自分の言ったことなんか
どうでもよくなった。


それくらい、暖かい笑顔だった。



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