モ ノ ク ロ
「よしっ。辛気臭いのは終わりだ。まぁ飲みなさいよ!」
ダンッと凄い音をたてたのは
袋に入った缶ビールと私用のカクテル。
20本はあるな。
「お袋どんだけ飲むんだよ。」
「何言ってんのよ。それはあんた達の。私のはこれだよ。」
とニヤニヤしながら
一升瓶を幸せそうに抱えていた。
アル中になっても知らない。
「響子さんアル中になってもしんねえよ~。」
ふざけた顔した克己さんが
私がたった今思ったことをいった。
超ショック。
克己さんに右ストレートが入ったのは
その3秒後。
いつもの光景。
「楽しいな。」
隣にいたノリが
初めて、本当に楽しそうに
くしゃって笑ってた。
新しく増えた景色。
私はこの景色がとてもくすぐったかった。
『うん、楽しい。』