モ ノ ク ロ


『お風呂場ここね。電気はこれ。洗濯物は洗濯機に入れて。バスタオルはその引き出し。ドライヤーは上の戸棚の…』

背中が少し熱くなった。
ノリが私の背中を覆う様に
戸棚に手を掛けたから。


「あった。これか?」

黙ってコクコクうなずいた。


『じゃあ、私もシャワーさっさと浴びて直ぐに様子見に来るから。』

後でね、と手を振って
お風呂場を後にする。


「詩紀」

『ん?どうかした?』



「いや…なんでもない。」

はぐらかすように笑って、ありがとうって
言葉をくれた。


『どういたしまして、お隣さん。』



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