風のおとしもの。
「ま、雛乃は可愛いし、好きになるのもわかるよ」
「は?」
「今更とぼけなくてもいいじゃん。好きなんだよね?雛のこと」
「そんなんじゃねぇよ」
「隠さなくてもいいだろー、幼なじみのよしみじゃないか」
「ホントにそういうんじゃねぇって」
「じゃあなんで雛乃に構うの?」
「……お前には関係ねぇだろ」
「まぁいいけどさ……なーんだ、つまんないな」
「人を話のネタにすんな」
「別に減るもんじゃなし」
「あのな」
鷹文が呆れたようにため息をつくと、佳代はいつものように笑う。
そのまま何とはなしに会話は途切れ、二人は無言のまま歩いていった。