風のおとしもの。




「てゆーかぁ、佳代は雛ちゃんだけのもんじゃないんだからさー」



すかさず間に割り込んだ美紀さんは、私に人差し指を立てる。
そんな仕草も愛らしくて、つい頬が緩んでしまいそうになった。
でもちゃんと謝らないといけないよね。
私は姿勢を正す。



「ごめんなさい……」

「佳代は私とお勉強するってゆー大義名分があるわけでぇ」

「や、それなんかちょっと違―――」
「しゃらっぷ!」


ぴしゃりと言い放った美紀さんは、不満そうな顔をつくった。
美紀さんのふわふわした髪が逆立っているように見えたのは、気のせいじゃなかったと思う。


「美紀のものでもないだろ」

「里香は黙ってて!」

「まあまあ」


三人が仲良しなのを目の当たりにすると、やっぱりちょっとだけ笑顔になる。
羨望だったり、可愛いと思ったり、むずがゆい気持ちになる。


「もー!」

「はいはい」


私もこんな風に仲良くなれたらなって、少しおこがましいことも考えてしまったり。









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