風のおとしもの。
「そっか、美紀がねぇ」
「?」
佳代さんが可笑しそうに笑うので不思議に思っていると、私の視線に気づいて説明してくれた。
「いや、美紀ってすごい勉強嫌いだからさ、今回はよっぽど赤点取りたくなかったんだなぁって思ったら可笑しくて」
「そうだったんですか」
「それか、雛の教え方がよかったのかな」
さすがは大先生と悪戯っぽく笑う佳代さんに、にっこり笑って返す。
「実は昨日予習してきていたので、もしそうだったのなら嬉しいです」
「予習って……美紀に教える為に?」
「もし躓きやすいとしたらどこかなって考えて、文系の科目だけやってきたんです」
あと教え方も、佳代さんに独特だと言われてから少し練習していた。
これは恥ずかしいから内緒だけど。
「……雛はすごいな」
「そんな、恐縮です」
そうは言うものの、やっぱり嬉しいです。
この調子で理系の科目も克服していこう!