風のおとしもの。
「じゃあ明日は私が教えてもらおうかな」
「わかりました!今日も予習しておきますね」
「おっ、頼もしいなぁ」
佳代さんの為なら何だって頑張りたい。
私で役に立てるなら何だってしよう。
こんなにへんてこりんな私にも笑いかけてくれて、仲良くしてくれて、優しくて………。
「よし!なら明後日は数学教えたげるから、わからないところのおさらいもしてくるといいよ」
「はい!」
なんでこんなに良くしてくれるんだろう?
隣りの席になって初めて話しかけてくれた時にはもう、私のことを名前で呼んでくれた。
その時は特に何も感じなかったのに、今はこんなに嬉しい。
友達ってこんなに嬉しいものだったんだ。
今までにも仲良くしてくれた人はいたけど、佳代さんといる時とは全然違う。
「雛、また明日ね」
「はい。また明日」
いつもの道で手を振りながら別れた。
自然と笑顔になってしまう。
留年してよかったって思ってしまうほど嬉しい。
私、頑張れそうだ。