風のおとしもの。



   ***



「だからこっちの式を………」

「えぇーっ!だってじゃあこの値はどーなるのぉ!?」

「美紀さん、図書室ではお静かに………」


図書委員の方に苦い顔をされてしまったのを見て、小声で注意した。
昨日は佳代さんの為にバッチリ予習してきたのですが、今日は美紀さんの数学をみてあげることになったみたいで……。
少し残念です。
今日は数学をやって、明日に備えよう。


「違うって、だからまずこっちに―――」

「うー………」


美紀さんは小さな呻き声を上げながら唸っている。
美紀さんも数学苦手なのかな?
昨日一緒にやった古文は、わからないと言う割りには飲み込みが早かった。
ちょっとだけ親近感です。


「そういえば、里香さんの得意科目は何ですか?」

「ん?」


窓を見て休憩しているみたいだったので、思いきって話しかけてみた。


「……体育」

「!」






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