風のおとしもの。
「いえ、そんなつもりは………」
あ、あれ?私おかしかったかな?
里香さんのこと、怒らせちゃった………?
運動神経や音感、芸術的なセンス。
こういったものは生まれ持った才能だと思っているから、素直にすごいと思った。
でも、違うみたい。
私嫌味だったのかな。
どうしよう、謝らないと。
「そんなつもりはなくて、私、純粋にすごいと思って………」
なんて言えばいいんだろう。
何がいけなかったのかわからないから、うまく言葉に出来ない。
「えっと、私は、運動が全然出来なくて、だから、あの………」
「…………」
佳代さんの大切なお友達に、私、なんてことしたんだろう。
今まで空気が読めてないとか、意味がわかんないとか、散々言われてきて、注意してたはずなのに。
一度俯けてしまった顔をなかなか上げられない。
ちゃんと謝らなくちゃダメなのに………。
「………あのさ」
「っはい」