風のおとしもの。
「あのさ、私こんなだから怖い思いさせたんじゃないかって………それで謝っただけだから」
「え………そんな、里香さんを怖いだなんて思わないです」
「あ、そ……じゃあいい。いきなり泣くもんだからびっくりした」
「これはその、無意識で…あの、以後精進します!」
「何それ」
わけわからんと笑う里香さんは、普段のクールな印象とは違って愛らしかった。
笑うとこんなに雰囲気が変わるんだ。
「私さ、顔も話し方もキツいみたいで。気をつけてはいるけど、今日みたいなことがあったら態度に出して」
そんなっ。
怖さで言えば村井君の方がよほどだし、話し方もキツいとは感じない。
いえ勿論村井君も親切な方ですけど!
でも私の中の『怖い人』って、村井君が基準になってるみたい。