風のおとしもの。




「………」

「………ごめん、不躾だった」

「…っえ?」

「なんか難しそうな顔してるから」

「あ、ごめんなさい。ちょっと昔のこと思い出してたんです」

「昔って?」

「二年生の最後に受けた試験があんまりひどかったので、今回は大丈夫かなって…心配になって」

「そういえばさ、なんで留年なんかしたんだ?」

「っ……それは、その………」


お母さんの傍にいたかったから、なんて、言っていいのかな。
そんな、ただのわがままを。
自分で傷付けておいて、傍にいたいだなんて。
本当に身勝手で、最低なことを。


「………悪い、ホント失礼だよな。急に悪かった」

「いえ、その……」

「戻ろう」



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