風のおとしもの。
里香さんに促されるまま、重い足取りでトイレを出た。
「………」
「………」
「………あのさ」
一呼吸おき、里香さんはゆっくり続ける。
「ホントにごめん。最低だった」
「いっ、いえ、そんな」
「気になったことすぐ口に出ちゃうみたいなんだ、私。だからって言い訳にはならないけど、ごめん」
「わっ!あ、頭上げてください!」
廊下には誰もいなかったけど、キョロキョロしてしまった。
そんな、いいのに。
私が勝手に落ち込んでいただけなのに、気を使わせてしまったみたい。