風のおとしもの。
「……許してくれるか?」
「許すも何も……私が勝手に落ち込んでいただけなので…」
「…………ありがとう」
「いえ…」
こんなこと話したって反応に困ってしまうだけだと思うから言えなかったというのもあるし。
でもこのままだと、なんか悪いなぁ……。
…………。
「……昨年は、母の体調が優れなかったので、病院に泊まったりしながら看病していたんです。
それで、留年してしまいまして」
笑顔で話そうと思ったんですが……うまく笑えなかったでしょうか。
声も暗かったかも。
いやにゆっくりな口調になってしまったし、ダメだったかな。
おずおずと里香さんを見ると、ひどく辛そうな顔をされていました。
あぁ、やっぱり言わない方がよかったかな。