風のおとしもの。
「おっつー」
「お疲れ」
「また明日ー」
「お疲れ様でした」
昨日と同じ時間に図書室を出た私たちは、校門で別れた。
そしてやっぱり美紀さんが一番疲れているみたいだった。
「今日は先生お疲れ様でした」
佳代さんに言うと、あーと声を出して肩を回す。
「美紀はほんっとに数学ちんぷんかんぷんで大変だったよ」
「その分古文は飲み込みが早かったですよ。きっと文系の科目が得意なんでしょうね」
「えっ……そうなんだ。美紀は全教科からっきしなのかと思ってた」
「そんなことありませんよ」
そっかーと伸びをする佳代さんからは、若干疲れがみえる。
一緒になって伸びると、佳代さんは歯切れ悪く話し出す。
「………っと。あのさ、その…今日、里香となんかあった?」
「へっ?」
「や、長いこと戻って来なかったから」