風のおとしもの。
「あ、えと、あの……」
「あぁその、何もないなら良いんだけどさ!ケンカしたわけでもなさそうだったし」
あははと後ろ頭をかき、佳代さんは空を見上げた。
心配……してくれたのかな。
やっぱり優しい方です。
「少ししました」
「っえ!?」
「でも、ちゃんと仲直り出来ましたよ」
「そ、そっか」
「心配して下さって、すごく嬉しいです。でも大丈夫でした」
「里香はいつもムスっとしてて勘違いされやすいんだけど、いい子だからさ」
「はい!とっても優しくして頂きました」
「………そか。なら良かった」
はにかむような佳代さんの表情から、安堵が伝わってくる。
「うっし、試験まであと少し、頑張るか!」
「はい!」
「終わったら遊びに行くぞー!」
「はい!」
夜の気配がしだした住宅街を、大声で笑いながら下校した。