風のおとしもの。
カラオケに向かうべく、雑談もそこそこにファーストフード店を出た。
「雛はカラオケとか行くの?」
「いえ、あの……それよりその、まずカラオケって、歌うところ…ですよね」
首を傾げて尋ねれば、三人とも目を丸くした。
「……雛はカラオケ行ったことないの?」
「小さい時に母と行った記憶がなくはないんですが……よく覚えていないんです」
「マジか」
カラオケがよくわからないことを告げると、とても驚かれた。
美紀さんに至っては珍獣を見るかような視線。
……黙ってればよかったかな。
「知らなくても問題ない。教えてやるから」
「!ありがとうございますっ」
「ん」
里香さん………!
なんて頼もしいんでしょう。
「雛乃ーっ、私だってちゃんと教えてあげるよ」
「ありがとうございます」
佳代さんが私の腕を掴んで頭を寄せる。
急なことにびっくりしていると、美紀さんが声を掛けてくれた。