風のおとしもの。






「会いたくて会いたくてー♪」



美紀さんは部屋に入ると一番にマイクを取って歌い出す。


「こっ、この機械は、あの………」

「こーやって歌いたい歌を検索するんだよ」

「機械が苦手なら本でも調べられるぞ」

「へぇ……」


まじまじと見入る。
お母さんと来た時は分厚い本しかなかった気がするなぁ。
とにかく触ってみよう。
ドキドキしながら『曲で探す』というところをタッチしてみる。
すると、さっき佳代さんが教えてくれた画面が出てきた。
すっ、すごい……!


「……ホントにおかしなやつだな」

「やー、可愛いなぁ」


膝の上の機械に夢中になっていると、二人の笑い声が聞こえてきた。
私、はまり込んじゃってたっ。
焦って機械を机の上に戻し、二人にお礼を言う。





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