風のおとしもの。
「あの、なんとなくわかりました!ありがとうございます」
「そっかそっか。ならよかったよ」
「また何かあれば教えるから」
そうこうしているうちに、美紀さんの歌が終わった。
「何ぃ、誰も入れてないわけぇ?じゃあ次も美紀入れちゃうよー」
「あっ、待て!私が入れるっ」
佳代さんは機械を取り、素早く画面をタッチする。
………わぁぁ、早い…。
私も早くあの境地に達しなければ。
「……ゆっくりでいいんだぞ」
「えっ」
私の心を見透かしたように里香さんは言った。
でも、迷惑になってしまうんじゃ………。
「四人もいるんだ、二、三曲終わるまで時間がある」
「…8~12分ほどですね」
「そうだな」
そう言ってクスクス笑う里香さん。
あれ、私またおかしかったかな。