風のおとしもの。
痛み
***
次の日からの学校生活に大きな変化はなかった。
お昼は前までのように誘ってもらえたし、あれ以来美紀さんが何か言ってくることもない。
ただ、私は美紀さんの顔色ばかり気にしていた。
「ね、雛。夏休みどっか行こうよ」
「わぁ、行きたいですっ!」
「――……へぇ~」
「ぁ………」
たまに美紀さんの雰囲気が変わる。
聞こえるか聞こえないかわからないほど小さなため息。
でも敏感になった美紀さんへの警戒心はそれを聞き零さなかった。
「でもあの、ちょっと予定がわからないので、今は何とも………」
「えーっ!雛なら補習はないだろ!?それとも他になんかあるの?」
「ぁと……その、数学があまり自信なくて……」
「んー、そっか。でもまぁどっか空いてるよね!そん時行こう」