風のおとしもの。
「前もこんなことあったけどぉ、体弱いの?」
「ぃ……ぃえ、そんなことは………」
心配そうに顔を覗き込んでくる美紀さん。
でも絶対に顔は合わせられない。
そうしないと、私の心が折れてしまいそうだから。
「………てかさ、そーゆーあからさまな態度やめたら?うざすぎんだけど」
「ぁ、の、えっと―――」
授業時間が近付き、生徒が廊下からいなくなると、美紀さんは突き刺すような声で呟く。
同時に繋がれていた手が払いのけられる。
「何?そーやって美紀に意地悪されてるって、佳代たちに縋るつもりなわけ?」
「そんなことは………」
「じゃあやめてよね」
「………はい」
保健室までの道のりが、途方もなく長い。
永遠のように感じた。