風のおとしもの。




   ***



村井君との約束通り、私は佳代さんと屋上へやってきた。

前日にメールは済ませてあるので、きっとどこかに見を潜めているハズです。


「あっつー!蒸し風呂じゃん」

「あの、日陰に行きましょう」

「てかこんなとこじゃなくても、空き教室とかでいーんじゃないの?」

「………あの。ここで起きたことだから、ここで話したいんです。………ダメ、ですか?」

「………それって、村井とのこと?」

「…はい」


短く返事すると、佳代さんはわかったとその場に座り込んだ。
日陰は思ったより涼しくて、コンクリートの床は思ったより熱を帯びていた。


「佳代さんが勘違いされてるみたいだったので、お話をと思って………」

「勘違い?」

「はい…」


訝しげな佳代さん。
首を傾げて私の言葉を待ってる。
………為せば成る!


「私、村井君に襲われてなんかいません!」






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