風のおとしもの。

次の日。

俺は腹を括って、小鳥遊の元に向かった。
やっぱり拒絶される。
でもこんなくだらないことで終わりたくない。

せめて伝えたいんだ。
お前に、感謝を。




結局高見に邪魔されて、小鳥遊とは話すこともままならない。
けだるい日々が続く中、一通のメールが届いた。



『無題
　おはようございます。小鳥遊雛乃です。
　突然メールしてしまってごめんなさい。
　以前携帯をお預かりした時、佳代さんが赤　外線というのをされて、私は村井君の連絡　先を知っていました。
　気分を悪くされたかもしれませんが、私は　どうしても村井君とお話したいです。
　もし良ければ、お返事下さい。』




「なっ……」


几帳面な文章に、絵文字一つないメール。
電話帳を確認すると、登録した覚えのない名前があった。

小鳥遊雛乃。
高見佳代。

高見のやつ、律儀に俺の携帯にまで登録しやがったのか。
…でも、これは願ってもないチャンスだ。