風のおとしもの。
何やってんだ俺っ………!
うなだれる。
蝉の声がうるさい。
どうすればいいんだ。
せっかく会えたのに、今またあいつは苦しんでるのに……。
俺はあいつに……何もしてやれないのか…!
「っ」
ぎっと奥歯を噛み締めると、小さな悲鳴が聞こえた。
はぁ……くそ、誰か来やがった。
さっさと靴を履きかえる。
今日はもう、何考えてもダメだ。
帰ろう。
「……っ村井君!」
必死そうな声に足を止める。
振り返ると、確かにあいつがいた。