風のおとしもの。
涙
***
図書室を出ると、廊下は熱気で溢れていた。
夏でも長いカッターシャツを着ている私には、少し暑すぎるかもしれない。
半袖のシャツは入学した時買ってもらったから、なくはない。
でも半袖だと教室のクーラーが寒すぎるし、何よりこの貧相な腕が人目に晒されるのが嫌だから。
「私はホント、ダメだなぁ……」
呟く声も掠れる。
のど、渇いたなぁ…。
帰ったら麦茶飲もう。
階段を降りながら、佳代さんの言葉を思い出す。
『友達ごっこ』………か…。
あの優しさも全部、嘘だったって言うの?
あんなやわらかい笑顔が、全部……。
………自分の都合のいいように解釈するのはやめよう。
調度夏休みだし、逆に良かったかもしれない。
短くため息が出る。
下駄箱まで来ると、大きな音がした。
……誰かいるのかな。