風のおとしもの。
スレチガイ
***
「どこ行くのさ」
「いいからついて来い」
諦めたのか、腕を離しても逃げようとはしない。
俺は教室で騒いでいた高見佳代の拉致に成功した。
こいつが諸悪の根源なのか、小鳥遊がそうなのか、はっきりさせる必要がある。
そうしないと俺の方の話が進まない。
「……っし、着いたぞ」
「ここって……」
「懐かしいだろ?」
高見とは昔よく遊んだ。
特にここはお気に入りで、夏になるとよく来た。
高架下の砂場。
オマケみたいに滑り台があり、あとは草むらだけ。
辛気臭い場所だから誰も寄り付かなくて、逆にそれを気に入っていた。
「相変わらず辛気臭ぇな」
「………で、話って何?」
居心地悪そうにする高見は、入り口近くから動こうとしない。
俺は気にせず滑り台へ向かった。