風のおとしもの。
「何するんですか!」
いきなりそんなことをするから、思わず強い口調で言う。
けれど急に真顔になった村井君は、視線を落とし、低い声で漏らす。
「……さっきのあれ、俺のせいなのか?」
急な問いかけに、言葉に詰まってしまう。
さっきのって、教室でのこと……だよね。
昔のことを思い出していただけで、決して村井君のせいじゃない。
むしろ弱い自分が勝手に村井君のことを重ねて、勘違いしていて、それがわかって、謝らなければいけない。
なのに、うまく言葉が出てこない。
「おーい、何やってんのかな?」
保健室のドアから女の人の声がした。
驚いて見ると、保険医の宮崎先生だった。