風のおとしもの。



「ん。たぶんこれで合ってる」

「た、高見さん、素晴らしいです」


私は高見さんの解答を見つめ、唸る。
私のためを思ってか使用した公式も書き込まれていて、略さず細かに解答してあった。
なっ、なんて優しい方なのでしょう……!


「数学苦手?」

「……はい。頑張ってはいるんですけど、どうも難しくて」


高見さんに問題集を見せる。
基礎的なものはだいたい解けるけれど、応用が全然解けない。
縮こまった私を見た高見さんは、閃いたように尋ねた。


「雛乃、英語とか古文とかは得意?」

「えっ。まぁ、数学よりは……」

「よし、決まり。私と勉強しよう」

「ふぇ?」

「やー、実は文系の科目は全然でさ」

「でも、あの。私教えられるかどうか……」

「明日から図書室集合ね!」


高見さんの瞳はとても輝いていて、眩しい。
それに数学を教えて頂けるのは魅力的です。

でも私は教えられるか………全く自信がない。
自信はなかったけれど―――


「……はい」


高見さんの迫力には勝てなかった。






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