ヒワズウタ ~チヒロ~

「・・・待って!」

と、言ったつもりの私の声は、喉で詰まり音にならないまま消えた。

バタバタと走って彼を追う。




店の外は、夏の夜の空気で満ちていた。


「すいません!」


と、叫ぶと同時に、勢い余った私は彼の背中に体当たりしていた。


あぁ、最悪・・・。

もう、いなくなってしまえ、こんな私。



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