ヒワズウタ ~チヒロ~

「あの、家は、近いんです。
 そこの信号を曲がって少し行ったところで・・・
 でも、一人暮らしで・・・あの・・・」


しどろもどろの私の言葉をちゃんと聞いてくれた後、





彼は、

ゆっくりと、

まばたきをした。






そして、少し困ったみたいな笑顔で、



「・・・近くまで送ろうか?」



やわらかい彼の声の響きに、

私は、

ただ、頷いた。







< 21 / 56 >

この作品をシェア

pagetop