ヒワズウタ ~チヒロ~
「よかったら、私の部屋で一緒にごはん食べませんか?
一人で食べるより二人で食べた方が、おいしいですよ。」
私を見つめたまま、彼は目を細めて笑った。
ゆっくりと彼の右手は、私の頭を撫でる。
まるで、子供にするみたいに。
そして、あやすみたいに優しく言われた。
「知らない男の人を、簡単に部屋に入れちゃいけないよ」
優しいのに、その中には厳しさもあった。
今日のお礼と送ってもらったお礼をして、私はアパートへと帰った。
部屋に入り鍵をかけ、そのまま扉にもたれかかる。
一緒に居たい
私は、なんで、そんなこと思ったんだろう。
昨日から、自分のことなのに分からないことだらけだ。