ヒワズウタ ~チヒロ~


「あの・・・名前を教えてもらえませんか?」


「あぁ・・」


私の頬から彼の手が離れる。


「申し遅れました、ユヅキと申します」




俯いたままの私の顔を覗き込むように、ユヅキさんが笑顔で答える。


どうして、こんなに、この人は自然に私の中に入ってきてしまうんだろう。

どんどん胸が苦しくなる。


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