ヒワズウタ ~チヒロ~


バイトが終わって二人で並んで夜の住宅街を歩く。


昨日と違う今日の道。


私のアパートへの道ではなく、線路の向こう側のユヅキさんのマンションへの道。



「出張に来て、初めて部屋の掃除したよ。」


少し照れてるユヅキさん。


今日は、少しだけ、よく話してくれる。



何だか、私も照れてしまう。



ユヅキさんは、五階建てのウィークリーマンションの二階に住んでいた。


玄関を開けると、懐かしい匂いがした。



「仕上げは、今からやるから、そこに座ってまってて。」



そういって、ユヅキさんはキッチンのコンロに向かった。

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