ヒワズウタ ~チヒロ~
涙が、あとから、あとから、流れて止まらなかった。
ユヅキさんは、いつもみたいに、やさしく笑ってた。
そして、ゆっくりと、
まばたきをした。
その瞳は、
もう開くことは無いんじゃないかっていうほど、
ゆっくりと瞼を閉じ、
私の左の肩に、そっと右手を置いてくれた。
「こんな時ですら、ボクは、どうすればいいか分からないんだ。」
右手が、
震えていた。
私の肩に置かれた、
彼の
右手が
静かに
震えていた。