誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


翌朝。


安田から愛を取り戻すイメージトレーニングをして。


――よし!


気合を入れて、家を出た。


――瞬間、オレの気合は砕け散った。


愛が、オレを待っていたのだ。


「おはよ」

「あ、うん」


歩き出すとすぐ――商店街もまだ過ぎていないのに、愛は手をつないできて。


「今日の話題、独占だね」


恥ずかしそうに微笑んだ。


オレたちのこと、親の耳にも入ってしまうかも知れない。


だけど、そんなことはどうでもよかった。


オレの隣りに、愛が戻って来てくれたのだから。

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