誕生日には花束を抱えて【完】
「可愛く頼めばいいのね?」


愛はにっこり微笑んだ顔を近づけ、


――チュッ。


オレの頬に、キスした。


「正平と一緒に行きたいの」


そして、上目遣い攻撃――。


オレの理性は、ぐらん、ぐらん。


もうこのまま、愛を抱きしめて、キスして「好きだ」と言ってしまおうか――。


いや、ダメだ。


キスだけじゃ済まなくなるかも――。


ダメだ、ダメだ、ダメだ――。


オレはなんとか、耐え抜き、


「わ、わかった。……着替えるから、外で待ってて」


愛を部屋から追い出した。

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