誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


「プレゼント、何が欲しい?」


愛はオレの誕生日にいろいろ考えてプレゼント(とケーキ――結局は自分で食べてしまうのだが)をくれたが、オレは欲しい物を聞くことにしていた。


「私、花束がほしい」


「花束ぁ~? 今から予備校行くんだぞ。そんなん持って行けねぇだろ」

「それじゃ、予備校休む。それで、正平の部屋でケーキでも食べよ?」


そ、それは、マズイ。


今日の愛は、可愛い過ぎるんだからっ。


そんなんで迫られたら、オレ――。


完全にアウト! だよ。


「ダメだ、予備校にはちゃんと行くんだ」


キッパリと言い切り、さらにこの話題を終わらせようと、


「ちょっと、トイレ」


オレは席を立った。

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