誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


オレは予備校で授業を受けていたが、まったく頭に入らなかった。


愛は、なぜ怒ったのか。


それをずっと考えていたからだ。


以前、愛と小泉が話していた。


誕生日に花束とともに告白されたい、と。



そして、今日――誕生日。


花束がほしい――と、愛は言った。



つまり。


オレからの告白を、愛は待っていた――。



やけに可愛い格好……。


オレをグラつかせる、仕草……。


花束……。


誕生日……。


告白……。


ああ、もう、くそ――。


授業はまだ途中だったが、オレは教室を飛び出した。

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