誕生日には花束を抱えて【完】
オレがやって来たのは、例の花屋。


「おや、いらっしゃい」

「あ、すいません……花束を」

「お見舞いかい?」


おじさんは、からかうように笑った。


「いえ、誕生日のプレゼントなんです」

「そうか。それは良かった」

「えっと、ピンクのチューリップは――」

「ああ、すまない。今日は仕入れてないんだよ」

「……そうですか」


オレの落胆振りがひどかったのだろう。


おじさんは、ガラスケースから何本かの花を取り出した。

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