誕生日には花束を抱えて【完】
「……ありがとう」

「あんまり、オレを悩ますなよ」

「え?」

「勉強、手につかなくなるだろ」


正平は、恥ずかしそうに、そして、とても優しい瞳で私を見つめた。


この感じは、いよいよ、告白――?!


私の鼓動が盛り上がった、その時――宅配便の車が家の前で止まった。


「神崎愛さんに、お荷物です」

「あ、はい」


車が去って。


「おばあちゃんからだ」


おばあちゃんからのプレゼントは、多分、私が欲しがっていた時計。


だけど。




正平がくれた花束には、敵わない。

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