誕生日には花束を抱えて【完】
<正平>


愛は大切そうに花束を抱えていた。


オレは愛の望みどおり、花束とともに告白するつもりだった。


しかし、花束だけでも愛のキゲンはすっかり直ったようだ。


「じゃあ、オレ、帰るから」

「うん」


花束を抱えて柔らかく微笑む、愛。


おじさんが言ったとおり、ピンクのスイトピーの花束は愛にぴったりで。


「それ、……似合ってるよ」


オレが言うと、愛は赤くなって、天使のように微笑んだ。

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