誕生日には花束を抱えて【完】
夜中にふと目が覚めて、トイレに行こうと部屋を出ると、ちょうどお母さんがトイレから出て来た。


「――愛」


私に気づくと、お母さんは動きを止めた。


お母さんの目は、泣き腫らした後だった。


「……どうしたの?」

「な、なんでもないのよ」


お母さんは真っ赤な目を私から逸らし、部屋に戻って行った。

< 133 / 200 >

この作品をシェア

pagetop