誕生日には花束を抱えて【完】
「調子はどうだ?」


夕方、お父さんが様子を見に来た時、


「私、本当は何の病気なの?」


思い切って聞いた。


「なにって……胃潰瘍だよ」


お父さんは動揺することもなく、答えた。


「本当のこと言って。そうしないと、お母さんが可哀想だよ」

「え?」

「お母さん、無理してるもん」


お父さんは、反射的にお母さんを見た。


たった1日なのに、なんだか疲れてしまっているお母さん。


「お父さん、本当のこと教えて」


お父さんは、私とお母さんを見比べて、観念したように口を開いた。

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