誕生日には花束を抱えて【完】
「……胃ガンだ」


……胃ガン?


「手術すれば、治るの?」

「…………」


お父さんは答えてくれなかった(きっと答えられなかったのだろう)けど、私の中で答えは出ていた。


「じゃあ……あと、どのくらい」


――生きられるの?


声がかすれた。


多分、お父さんは知らされているはず。


だって、ここは、お父さんが勤めている病院なんだから。


「それは、わからない」


だけど、お父さんは教えてくれなかった。


「例えば。あと半年、と宣告されながら2年以上生きている例もある。

突然、事故で亡くなることだってある。

余命なんて誰にもわからないんだよ」


私の後ろでお母さんが泣いてる気配がしたけど、私は気づかないふりをした。

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