誕生日には花束を抱えて【完】
翌日、正平のお母さんがお見舞いに来てくれた。


「胃潰瘍なんだって? 愛ちゃんは、胃が弱いね~」


おばさんは何も知らないらしく、いつもどおり元気いっぱいだった。


それとは対照的に、沈んでいるお母さん。


それこそ、神経系の病気になりそうで。


「おばさん」

「なあに?」

「ほんとは、私、胃ガンなんだ」

「え?」


おばさんは一瞬にして表情を変え、お母さんに目をやった。


お母さんはおどおどしていて、私の言ったことが真実だとおばさんにもわかったみたい。


「……お母さんのこと、慰めてあげてね」


私のお願いに、おばさんは無言でうなずいた。


「あ、それから、正平には言わないでね。私、自分で言うから」

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