誕生日には花束を抱えて【完】
3日後、彼が亡くなった。


彼の病室には、真知子さんの他に年配の女性と男性がいた。


彼か、真知子さんのご両親かもしれない。


その人たちの前で、真知子さんは号泣していた。




残された者――。


ふと、真知子さんと正平が重なった。


たった1週間の看病で、点滴が必要なほど疲れてしまった真知子さん。


彼を失って号泣する、真知子さん。


この10日間、真知子さんがどれだけ辛かったか、想像しただけで胸が苦しくなった。




私は――。


そんな辛い思いを、正平にさせたくない。




……ううん。


させない――。

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