誕生日には花束を抱えて【完】
湖畔に着くと、ボートに乗ろうということになった。


「小泉くん、一緒に乗ろ!」


サトちゃんではなく、ケイちゃんに腕を掴まれた時の、小泉――。


笑いをこらえるのが大変なほど、情けない顔をしていた。


オレはサトちゃんとボートに乗ったが、


「深見くんて、誕生日いつなの?」

「兄弟、いるの?」

「高校の時は、部活何やってたの?」


止まらないサトちゃんの質問に答えるのが精一杯。


オレは、愛と山本以外の女子と話すことに慣れていなかったのだ。

< 145 / 200 >

この作品をシェア

pagetop