誕生日には花束を抱えて【完】
<小泉>


オレと正平は工学部、サトちゃんは教育学部。


今まではサークルの時ぐらいしか会わなかったのに、9月になってからは毎日のように学食で一緒になる。


そして、正平とサトちゃんの間に、なにか妙な空気が流れていて。


「……サトちゃんとつき合ってんの?」


まさかとは思ったが、正平と2人の時に聞いてみた。


「実は……そうなんだ」


正平は決まり悪そうに白状した。




……嘘だろ。


正平が、サトちゃんとつき合うなんて。


いや。


神崎以外の誰かとつき合うなんて――。




驚きのあまり固まっていると。


「……もしかして、サトちゃんのこと、本気で好きだったのか?」


正平は、見当違いも甚だしいことを真顔で言い出した。

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