誕生日には花束を抱えて【完】
……なんだ、それ?


オレは、サトちゃんのことなんか、べつに好きじゃない。


確かに、いつも、カワイイとか言って騒いでるけど、それはサトちゃんに限ったことじゃないし……。




呆れるあまり、なにも言えずにいると、


「ごめん。小泉がサトちゃんのこと本気で好きだったなんて思わなかったから」


正平は完全に勘違いしたようだ。




だいたい、正平は、鈍感すぎる。


これだけ一緒にいたのに、まったく気づかないんだから。




――オレが好きなのは、神崎だっていうことに。




そして、カレシができたという神崎の言葉を、鈍感な正平は疑いもしなかった。


どうせまた、正平が神崎のキゲンを損ねるようなことをしたに違いない。


たった1週間で、神崎が心変わりなんかするはずないのに……。


どれだけ神崎に想われているのか、そんなことさえわからないなんて――。

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