誕生日には花束を抱えて【完】
「神崎のこと、もう忘れられたのか?」


ただ見ていただけのオレでさえ未だに忘れられないのに、おまえに忘れられるはずないよな。


聞くまでもない質問を、オレはした。


だが、正平の返事は。


「……忘れる」


おまえは、諦める必要なんてないのに。


忘れる努力なんてしなくていいのに。


真実を確かめようともしないで、神崎を忘れると言うのなら――。




「サトちゃんのことは、傷つけるなよ」


引き返せないようにしてやるよ――。

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